ラムレーズンを浸けた3日後、ついに試食の時が来た。ラムとレーズンを掛けて、ガーナを足すという数式でも同じく〈おいしい〉答えは得られそうだが、問題は食感だ。お菓子作りの手間まではかけるつもりがなかったので、とりあえずこれらのパーツをセットして誰かの口に入れてみよう…。
「おーい!」好き嫌いなく何でも食べてくれる我が相棒は格好のターゲット。
「これ、食べてみて」「…」「どお?」「ラミーみたいだね」
やった〜♪と思った瞬間、次の言葉に撃沈された。「作るのも食べるのもめんどくさいじゃん、買えばいいのに」
確かに。わざわざ1/3×2+1/3=1にしなくても1のままでいいというお話。
今までやってきたことは無になった。バレンタインデーが近づきつつあるというのに、愛情こもったチョコレート(になるはずだった)素材は冷蔵庫の中で急に冬眠することになった。春が来るのかどうかは私にはわからない。(完)