血の色まで見る

とても個性的でセンスのいい友達がいる。容姿端麗なちょっと不思議ちゃんで、とにかく色使いが独特。服もメイクも自分を演出する手段として日々研究を怠らない努力家だ。久しぶりに会った今日は黄色、紫、ピンク…と溢れんばかりの色をボヘミアン調にまとい、ヌーディーながらもしっかりメイクでご登場。これが本当に素敵で毎度のことながら私は降参するしかなかった。

「さっきソニプラで買っちゃった。はい、プレゼント!」と会うなり小さな包みを押し付けられた。そう。彼女はプレゼント魔でもあり、これまたいつもドキドキさせられるのだ。「わー、開けていい?」といいながらリボンを解いた袋の中に小さな円錐型のものが見えた。ネイルエナメルだ。しかも鮮やかなグリーン!「これを見てあなたの血管を流れる血の色に合いそうだなって思ったのよん」彼女はニコニコと物騒なことを言う。へーえ、そういう選び方もあるんだ!私も友人にネイルエナメルをプレゼントしたことは何度かあるが、選ぶ色はほぼ迷わず上品なベージュピンク。誰にでも似合うし、服にも合わせやすいし、つい使えるものを…と思ってしまう。でも相手をよく観察して、その人にぴったりの色を理由も添えてプレゼントするのってすごい!とまたまた感心してしまった。

そのグリーンは【GREEN GRASS】という名前がついていた。ぱっと見、鮮やかな印象しかなかったのだが深みも艶もある。アイルランドの美しい女性が冷たい風に吹かれてから急に暖かい所に入ってほっぺたが上気している、そんな人の指を彩っていそうな色だ。試しに塗ってみるとふーん、まんざらでもない。「鮮血」がよく似合いそうなその色を見ていると、どす黒いドロドロ血にならないように気を付けなくちゃ、なんて思ってしまった。