洗える帽子

帽子のオーダーが入った。条件は【洗える帽子】

素材がデリケートであったりデコラティブな装飾が施されたりしていれば、なおのこと洗濯による型崩れは免れない。私の創る帽子は洗濯をなるべく避けてもらうようにしているし、私自身も洗わない前提でつくり、使っている。
ただ「洗いたい〜!」と懇願されてしまったら仕方がないので、試作して洗濯実験をした上で受けることにした。
素材は先方が希望する黒のエクセーヌ(人工スエード)。洗ってもヘタリにくい高級感のある材料だ。芯をなるべく使わず、ステッチできれいなシルエットを出すように意識して仕立ててみた。そして洗濯。ネットに入れて洗濯機の手洗いモードで2回、通常モードで1回。計3回洗濯してみたところ、「しれっ」とはしてきたが大きな型崩れはなさそうだ。自信満々で納品した。

1週間くらい経った頃、お店の人から連絡があった。お客さまが帽子を気に入ってくれて色違いであと2つ、追加注文したいという。「それがね」と彼女。「もう2回も洗ったみたいなんですよ!」
帽子が好きでいくつも持っているらしいこと、その割りには何にでも合わせやすいダークな色みのベーシックなタイプを愛用していること、そしてそれをとことん(それがはた目にはちょっぴりくたびれて見えたとしても)被り倒すらしいこと…なんて話は聞いていたから私の帽子もその1つになれたら光栄だとは思っていたのだけれど、被る度と言っていい位の頻度で洗うとはいやはや恐るべし。
自分には普通でも他人にとっては思いがけない性癖というのは多々ある。帽子を被って出掛けたら洗い、毎回気持ち良く被るというのがきっと彼女の流儀なのだろう。私だって靴下だったら一度履いたら必ず洗う。でも靴下と同じ感覚で帽子を洗うというのはやっぱりちょっと多すぎやしないか?と思う帽子作家である。

「洗える帽子」への4件のフィードバック

  1. こんにちは!
    客はいつもわがまま、それに媚売らずにポーカーフェイスで付き合う
    事がプロだと思います。 私には出来ませ~~ん 
    赤レンガ仲間5人展3/24-28 新宿ワシントンホテルで出店します、
    審査ありますがテーブル、イス、飾り棚、スポットライト、イーゼル等
    備品含めすべて無料です、おまけに綺麗なポスターも作ってくれます
    興味ありましたらメール連絡御待ちしてます。  (*^^)v  

  2. こんばんは。
    出来る限り要望には応えたいと思いながら日々制作しているんですけど、最終的な形に至るまでの経緯はお客様には見えていないので反応悪いとイタいですね(笑)
    なになに?何だか気になる情報が…

  3. お久しぶりです!
    帽子はやっぱり靴やバックと同じと思います。洗えないよ!
    そのお客様は自分の靴を毎日使うから洗濯機にまわすのかね?
    確かに、上手に洗えばエクセーンは大丈夫な素材だけど、
    シーズンが終わって1回洗う程度の話ですから。。。
    物を分からないお客さんは最近増えているから、いいやですよね!

  4. コメントありがとう!
    その通りなのよ。でもモノを作らない人にはわかってもらえないのが現実なんだな…。
    そういう人を感心させるモノづくりをしたいという気が、ほんのちょっとだけどあるからつい受けちゃうんだけどね~

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