普段教えることばかりだと、衝動的に自分も何かを習いに行きたくなることがたまにある。今回は半幅帯の一日体験教室に参加してみた。
着物に興味はあれど和裁も着付けもほとんど知識なし。それどころか着物さえ持っていない。なのになぜ帯?理由なんてなくて長くて四角いものならちょっと簡単そう?と思ってしまったから。それとほら、着物一枚、帯三本というではありませんか。帯は持ってて損がなさそう…かな?なんて感じで。
以前電車で見かけた、モダンなインテリア生地を帯に仕立てて無地の着物に合わせていた素敵なご婦人。彼女を思い起こしながら、講習当日は涼しげな雰囲気のコットンの生地を選んで持っていった。
和裁の世界は衝撃だった。採寸単位は違うし、道具も独特。ほとんど手縫い。布を扱うことには慣れていたつもりだったが、教えてくれる先生の手付き、そこにうっすらと付く筋肉は私にはないものだった。
今回はミシンで縫って帯芯だけ手縫いでつけていくやり方だったが、これが思っていた以上に大変!日頃「指抜きって何に使うんだろ?」と不思議に思っていたのだが、これは指抜きなしでは手がボロボロになってしまう。肘から先、特に手先の力を出し尽くし、時には血を滲ませながらザクザク縫っていく…というほど簡単に針は通ってくれなくて思いの外、時間がかかった。終わった時にはしばらく針は持ちたくないと本気で思った。
聞けば、帯作りは男仕事だったという。でも私、結構手先の力強さには自信があったんだけどな…違う世界では通用しない、己の未熟さを思い知った一日だった。そして着物の世界にちょっぴり触れられた刺激的な一日だった。