三十路もとうに過ぎて【いまさら】習い始めたバレエ。週2回のレッスンを続けて3年半になる。必死な形相のブザマな動きにも、笑いを堪えながら丁寧にレッスンしてくれる先生の尽力は何よりも大きい。教室に通うメンバーは増減を繰り返しつつも少人数で落ち着いていて、その雰囲気は終始和やか。ちょっと緊張感に欠けるかとも思うけれどストレスレス。一時期生徒が減ってマンツーマンレッスンが続いた時は、さすがに先生に申し訳なくてお稽古の日を減らそうか…と考えたこともあったし、続けることに自問自答してみたこともあった。【何のためにバレエを習うのか?】と。
上手い下手はともかく、これまで踊ることには親しんできたし、その楽しみは知っているつもりだったから、初めてのバレエにもワクワクしながら足を踏み入れた。やればやるほど身体の使い方や見せ方の理論的なことに驚き、ダンスは感覚的なものと漠然と思っていた私には目から鱗なことの連続だった。そうなると自分の骨格や筋肉の状態が物凄く気になってくる。さらには、求められている動きを頭で理解出来たとしても身体はそう簡単に動いてくれないし、これまで無意識のうちに身体についてしまった癖は難敵だ。そんなことを率直に同じ教室のNさんに話した時の【続けているとどんどん欲が出てくるわよ〜、出来ないなりにもね!(笑)】という台詞が今でも忘れられない。
小さい頃からの基礎の積み重ね、たゆまぬ努力が強くて美しいバレエダンサーの根底にあるのだから【いまさら】の私が日々のレッスンでどうにも出来ない消化不良に陥るのは無理もない。だがそのマイナスな気分よりも身体が受ける新しい刺激の方が勝るようだ。ちょっと動くと何となくその日の体調がわかってくる。開脚の角度がちょっぴり広がった気がして、たまにしかやらないけどストレッチの成果かなぁ…なんてほくそ笑む日もある。初めの頃には理解出来なかった体の使い方が突然、鮮明に見えてくることもあるし、逆にこの前まで出来ると思っていたことが、少し細部に気を配れる余裕が出来たばかりに崩れてしまうなんてことも。そんなことを繰り返しながら少しずつ少しずつバレエの形に近づいてるんだと思いたい。
もう少し頑張ればもっと綺麗に出来るんじゃないか?とバレエに挑戦する自分の中に、少しでも伸びしろが残っていると感じられる間はきっと続けられるのだろう。
どこからか【そんなに上手くなりたいなら毎日ストレッチして身体を柔らかくしておきなさい!】という声。当然ながら伸びしろも増えるのであろうが…耳が痛い。