ラザニア放浪記

ラザニアが食べたい!
急に頭の中をラザニアがグルグル回りだしたら、みなさんはどこに駆け込みますか?
先日ある友人にその訴えをぶつけたら【カプリチョーザ】に連れていかれた。
そう。予算に限りある学生の頃、旺盛な食欲を視覚的にも感覚的にも満たしてくれたあのお店。なんでもお店の創始者は、大阪万博時のイタリア館シェフだったとか。

当時は目に余る食べ残しをしながら「どれも味いっしょだね~」なんてわがままなセリフを吐いていたものだ。
見覚えのあるメニューに朧気ながら記憶が蘇る。爆弾のような形状のライスコロッケや、ボウルのような器に山盛りのパスタ。でもラザニアなんてあったっけ??
他のオーダーに遅れること20分。このお店にしてはボリューム抑え目に見えるラザニア(正しくはラザニア風グラタン)が運ばれてきた。それは四角いパスタがミートソースとホワイトソースに埋められたグラタン。残念ながらラザニアではないから四角いパスタは重ねられてはいない。ナイフを入れた時のあの断面を数えるのってちょっと楽しみだったのに、な。
味は無難だった。

その2、3日後、ピザが自慢の某レストランにて。ランチメニューに限定10食のラザニアを発見してしまった。これをオーダーしない理由はない。
これまたオーソドックス。形状はイメージ通りだったし、見かけから想像できる味でカプリチョーザのにも似ていた。

私はラザニアに一体何を期待しているんだろう。

幾つか食してみて思ったのは、過去に初めて食べたこの料理が元々家庭料理であるものをイタリア料理に昇華させた進化形であったにもかかわらず、私の中でラザニアとして定義付けられていたということ。

もしかしたら、どこかのおうちのラザニアが好きかもしれないけどそんなの知る由もない。
肉じゃがなら気に入った味のお店をブックマーク出来るけれど、ラザニアはそんなわけで永遠に放浪して探しまわりそうなのである。

面倒な、しかも他国の家庭料理を外食でというのはやはり甘い考えだったか。