私の中では、昔ながらの喫茶店メニューのイメージそのままに懐かしい存在であり続けてきたナポリタン。スパゲテイをパスタと呼ぶようになり、イタリアンレストランで頂くようになって以来、食す機会は激減したし、メニューの文字には惹き付けられるものの「あ、この店ナポリタンがある!」…で終了。浮かぶのは薄切りの野菜とちょっとのびちゃったスパゲテイがケチャップまみれになっている図。そして味覚の記憶は甘酸っぱくてベチャベチャした感覚を呼び起こし、懐かしいけどオーダーには至らない…と言ったところか。これは日本で生まれた料理らしく、敢えて定義すれば炒めたパスタをトマト系のナポリタンソースで和えてパルメザンチーズをたっぷりかけたもの。ナポリタンソース(ケチャップソースのこと?)というのがまたおしゃれな響きに聞こえてしまうのがちょっぴり哀しい。
熱線と紫外線が容赦無く肌を刺す5月某日の昼下がり。それは真青な日本海を横目に走る道路添い、あるパティスリーでの偶然の出会いだった。京都は間人、カニで有名なその漁村にちょっと異質な雰囲気を漂わす地中海風の建物を発見!老若男女問わず面白いように人が吸い込まれていくのを見て、つい後に続いてしまった。まず目に飛び込んできたのはこんなにたくさんの種類を作らなくても…とこちらが余計な心配をしてしまうほど、シンプルで愛らしいケーキの数々。だがそのケースの横に貼られていたカフェメニューのその文字に私の目は簡単に奪われてしまった。「パティスリーにナポリタン?」そう、このお店のスイーツに分類されないメニューは2つだけ、ナポリタンとカルボナーラだった。この時、なぜだか食べておかなければ大事な忘れ物をするかのような感覚に見舞われ、気が付けば海を臨むテラス席に座ってナポリタンの登場を待っている私がいた。それほど大きな期待もせず、突き刺してくる陽射しに実はイライラしながら。
そのナポリタンは見た目も味もこれまで私の出会ったことのないタイプのもので、洗練された味にびっくりした。この味を文章にしようとすると貧弱な語彙を露呈し、陳腐な表現になりそうなのでやめておこう。このお店、交通の便がいいとは言い難いこの地域に、立ち寄る目的のひとつにしてもいい。ケーキにしろナポリタンにしろ、素材のよさと丁寧な仕事ぶりをあんなにすばらしい景色と一緒に提供してくれるところはなかなかないと思う。都市に住んでいると「いい景色に美味いものナシ」が悲しいかな、通説だから。
ナポリタン・・・と聞くと、3人組が歌っているのをふっと思い出してしまうのですが(^^)
なんと優雅なナポリタン話でしょう!
わたしも久しぶりに食べたくなってきました・・・☆
景色もよし、味もよしって、確かになかなかありませんよね
そんな中、私も先日そういうお店に出会えました!
続きは・・・長くなりそうなので日記に書くことにします~(^^*)
なにはともあれ、とっておきのお店に 乾杯!
すてきな体験ですね
ぼくもケーキとナポリタンで海を眺めたい!
京都か…遠いな…
これを読んでナポリタンを食べたいな、と思ってもらえるのはとても嬉しいです。実は私、ずっとナポリタンを見下していたもので今回はその反省を込めて書きました。庶民的なメニューだけに「これは是非食べて欲しい!」というほどのものではないのですが、調味料も素材もいい物を使って丁寧につくるとこんなに美味しいんだ、っていうことにひどい先入観を持っていた私はヤラれてしまったんですね。きっと今は昔ながらのナポリタンを探す方が難しいのかも。
何はともあれ天橋立方面に旅行の際には絶景のテラスに立ち寄ってみてください。